建築とサステナビリティ

サステナビリティとは

最近いろいろなところでサステナビリティ(持続可能性)という言葉を聞くようになりましたがみなさんがご存知でしょうか?

サステナビリティとは、現代の社会課題である地球環境問題や高齢化などの問題に対処して、持続的な社会を目指そうという意味でよく使われる言葉です。
このような説明をすると地球温暖化対策などをイメージしてしまいがちですが、世界的に見ると貧困問題、ジェンダー平等、水道衛生問題、海洋資源問題など対象は様々です。

実はこのサステナビリティという言葉は、単なる慈善活動をしましょうというレベル感ではなく、ビジネスに大きな影響を与える言葉として世界的に重要度を増してきています。
そして、すでに建築業界にも大きな影響を与えるところまで来ており、今後建築家として成功するためには必要不可欠な要素になっています。

この記事では、サステナビリティという言葉がなぜ重要なのかを説明していこうと思います。

サステナビリティとSDGs

サステナビリティの重要性を説明するために、避けては通れない言葉があります。
みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))です。

SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた世界的な目標です。
17の目標とそれらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
参考: https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html

このSDGsへの取り組みは国だけでなく世界の巨大企業も積極的に行なっており、世界の政治・経済・価値観に大きな影響を与えています。
しかし、なぜ今このような取り組みが世界で重要になっているのでしょうか?

世界がSDGsに取り組むワケ

まずもっとも大きな問題が気候変動問題です。
日本では多くの場合、地球温暖化問題と呼ばれる問題ですね。

これまでは気温上昇について取り上げられることが多く、地球温暖化という言葉で語られることが多かったのですが、
実際には寒冷化する地域もあったり、異常気象の多発を引き起こしていることから気候変動問題と呼ばれることが増えてきました。

ではこの気候変動問題について、なぜ世界は動き出しているのでしょうか。
それは気候変動により様々なリスクが予想されているからです。

例えばIPCCでは気候変動問題のリスクを、大きく次のように示しています。

  • 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
  • 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
  • 極端な気象現象によるインフラ機能停止
  • 熱波による死亡や疾病
  • 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
  • 水資源不足と農業生産減少
  • 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
  • 同じく海域の生態系、生物多様性への影響

これらの問題だけだとあまり現実味がないかもしれないので、日本の問題に焦点を当ててみましょう。
NHKが2014年に作成した2050年の天気予報のシミュレーション動画を紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=NCqVbJwmyuo

あくまで予想ですが、すでに日本の夏の気温が昔に比べてかなり過ごしづらくなっているのはみなさん感じていると思います。
私の地元も冬に雪が降る頻度が明らかに減ってきました。
決して笑って見過ごせるものではないと思います。

このように気候変動問題はすでに私たちの生活を根本から崩壊させてしまう可能性が高く、その影響はすでにある程度は避けられないと考えられています。
このような状態を少しでも抑えるために、今世界中のあらゆる団体がSDGsを達成しようと努力しています。

企業と自治体の取り組み

ユニリーバ

まずはユニリーバの取り組みをご紹介します。
https://www.unilever.co.jp/sustainable-living/
ユニリーバは自社製品の中に多くのサステナビリティブランドを含めており、環境などに配慮した製品を増やしています。

とくに強調したいのが、サステナビリティブランドはユニリーバ製品の中で成長率が高かったり、コスト削減に繋がっていることです。
https://www.unilever.co.jp/news/press-releases/2018/unilevers-sustainable-living-plan-continues-to-fuel-growth.html

この結果はつまり、消費者が購買をするときの判断基準にサステナビリティを含めているということです。環境への配慮が直接会社の売上に繋がってることを示しています。
わかりやすい例を挙げれば詰め替え製品でしょうか。これらは企業にとっても消費者にとってもメリットがあり、経済活動を活性化させながら環境への配慮をしている例になります。

Apple

次に世界でもっとも時価総額の高い企業であるAppleの取り組みをご紹介します。
こちらは売上への影響は報告されていませんが(おそらく測ることができない方法なので)非常に素晴らしい取り組みなのでご紹介します。
https://www.apple.com/jp/environment/our-approach/

Appleは2015年から環境問題へ配慮した経営を実践しており、2020年現在ですでに以下のことを達成しています。

  • Appleのオフィス、直営店、データセンターはすべて100%再生エネルギーで経営
  • 水銀、臭素系難燃剤、PVC、フタル酸エステル、ベリリウムなどの有害な化学物質を自社製品から排除
  • 中国にある約40万ヘクタール以上の森林の管理方法が改善
  • Apple全体のカーボンフットプリントを2015年以来35%削減。
  • サプライヤー各社がクリーンエネルギーに転換できるように支援することで、60万世帯への電力供給による排出と同量の炭素排出量を削減
  • Apple製品による平均エネルギー消費量を2008年以来70%削減

これらの取り組みによりAppleは国連の2019年世界気候行動賞を受賞しています。
最終的には地球から何も採らずに製品を作るというのですから、ぜひ達成して欲しいですね。

鹿児島県大崎町

最後に地方自治体の素晴らしい例を紹介します。
鹿児島県大崎町は日本一リサイクル率が高い町です。
この街は人口1万3000人なのですが、この街のリサイクルシステムが世界から注目を浴びています。

もともと既存の埋め立て処理場の延命化目的でゴミの分別の細分化を始め、現在では27品目への分別を行なっているのですが、この分別によりリサイクルできるゴミが増え、1998年から84%ゴミの量が削減されています。
大崎町ではこのリサイクルできるゴミの売買益により、奨学金を創設して地元民に還元できるまでに至っています。
またリサイクルセンターでは40人もの雇用を生み出しており、環境へも町へも非常に良い影響をもたらしています。
https://gyoppy.yahoo.co.jp/originals/31.html

建築家がサステナビリティを意識しなければならない理由

ここまで、サステナビリティについて世界の事例などを紹介しましたが、やっと本題に入ります
なぜ建築家にサステナビリティが必要なのかということです。

ここまでの事例の紹介でわかったサステナビリティの必要性は、様々な団体の行動により消費者行動が変わってきており、サステナビリティへの取り組みが高い経済効果を生み出しているからです。

日本ではまだサステナビリティへの意識は低く、これから高まってくると予想されます。
そのため、建築業界においてもサステナビリティを意識した建築を消費者が好むようになり、環境に配慮しない建築が受け入れられなくなってくると想定されます。

すでに起きている影響

まずは消費者の目線からサステナブル建築のメリットを考えてみます。
建築家にとっても消費者の動向というのは非常に重要ですが、本当に今消費者がサステナブル建築を求めているのかを確認したいと思います。

国の補助や減税

まずは消費者にとってもっとも大きいのが補助や減税だと思います。
https://www.sumai-fun.com/money/energy-saving/
普通に家を建てるより、こういったメリットを受けられる家の方が消費者も建てやすいのは間違いありません。

過去にはエコカー減税などが流行りましたが、その時にプリウスが非常に増えたのはみなさん肌で感じていると思います。

省エネ住宅のメリット

建築関係者ならすでに知っていると思いますが、省エネ住宅というだけで快適に暮らすことができるなどのメリットも豊富です。
ZEH(ゼッチ)やZEB(ゼブ)という言葉も出てきているように、これから快適に暮らすという意味で省エネ住宅なのどのサステナビリティ建築が増えていくでしょう。

企業や自治体が求める建築物への要望

これまで説明したように、いま日本も含め世界中でサステナビリティを重要視した動きが加速しています。これは2030年が近づくにつれてさらに加速していくでしょう。そんななか、企業のオフィスビルや工場、自治体の関連施設など建築そのものにもサステナビリティが求められています。
今後はサステナビリティを意識していない建築はどんどん需要が減っていくでしょう。

まとめ

  • 世界的にサステナビリティの動きが加速している
  • 企業・自治体などサステナビリティを意識した団体が増えている
  • 一般消費者にもその影響が広がっている
  • 建築業界でもサステナビリティの需要が増えることは避けられない

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。