おりづるタワーができるまで

広島市内の原爆ドームのすぐ隣に、おりづるタワーはあります。

このビルは、三分一博士さんの設計によって改築されることで生まれました。

なぜ改築なのかというと、ここら辺は、原爆ドームの近くであるためその景観を壊さないように建物の高さ規制が厳しくなっているからです。

このビルのオーナーは、広島の街並みを展望できる高さのある展望台を設計に取り込みたいという意向があり、新築でこの土地にビルを設計すると、今のおりづるタワーのような高さのビルは役所から申請が下りないということになります。

そのため、既存のビルを改修することによって、この展望施設のある建築が実現されました。

三分一博志さんのおさらい

設計者の三分一博士さんといえば、今や日本だけでなく、世界で活動されている建築家ですが、宮島の展望台のように広島建築に大きく貢献しています。

もともと三分一さんは、広島の建築家でもありミニマル建築の巨匠でもある小川晋一さんの設計事務所出身であるため、その後も広島在住で事務所をかまえており、広島での活動も多くあります。

広島以外の建築だと、岡山の犬島にある犬島精練所美術館や神戸の六甲枝垂れ、香川県の直島の直島ホールなどが有名ですね。

 

おりづるタワーのコンセプト

設計者の三分一博志さんは、この原爆ドームのすぐとなりの土地にたつ立地に対して「世界文化遺産と共存し得る建物」とコンセプトを立て設計しました。

建物全体の色は、周辺の広島平和記念公園(原爆ドーム)との調和を配慮した上で選んでいます。

また、おりづるタワーの外周は、徒歩で上がっていけるスロープになっており、「建物に風を通す」という設計趣旨もあったことにより、その外壁を取り除いており、そのおかげで自重が軽くなり耐震性能も上がるという設計になっています。

風は三分一さんにとってキーワードですね。

 

設計のみどころ

本物のおりづるを使ったしかけ

この建築は、屋外から見るとわかりやすいですが、建物の外壁の一部に折りづるの模様が入ったガラスの筒があります。

これは単なる表面的なデザインではなく、この筒の中には、来場客が実際に折り紙でおりづるを折り、それを12階から落として入れていくというしかけがあります。

施設の方によると、全部で127万羽(重量でいうと1.6トン)入ると言われており、2018年1月1日現在24万羽まできているそうです。

このおりづるを折る紙は、初期に折って投函された筒の下にある折り鶴が上の折り鶴によってつぶれてしまわないように、大学で折り鶴にかかる力などを研究され、それに耐えうるように特殊な硬い紙が使われているそうです。

 

スロープによるアクセス

このタワーの計画は、1階がエントランスとカフェ・お土産売りばで、12階が広場、13階が展望施設となっています。

その12階、13階に行く、またはそこから降りる方法として、直通エレベータか半屋外のスロープかを選べるようになっています。

この上へ行くアクセスでは、ぜひスロープを選ぶことをおすすめします。

その理由は、まず三分一さんの木と光をベースとした昇降空間を楽しめるからです。

このスロープで上ると展望台からは見えない方向の広島の景色も見ることができます。

つぎに、滑り台があることです。

スロープの内側にらせん状に滑り台がついています。非常用という理由もありますが、一般の来場客も自由に使うことが出来ます。

しかし、実際に大人一人で行って使うのは、少しはずかしいかもしれません。連れと行くか、家族で行くと滑りやすいです。

そして、壁面に展示してあるイラスト。

広島のまちの歴史が、漫画風に並べられていて、平和について抽象的に語られています。

この漫画は、セリフがないので上りの順で見ても、下りの順で見ても楽しめるように描かれており、のぼりはきついからエレベータを使おうという人でも、下りで楽しむことが出来ます。

ちなみにエレベータの中はこんなかんじ

なかもきれいなので、上りか下りのどっちかはエレベータでもいいかもしれません。

広場

ここでは、先ほど説明した筒にためていくおりづるを実際に折ることができ、ここから下に投函できます。

また、大小さまざまなディスプレイが設置してあり、おりづるについての説明や、広島の街の変遷、また展望スペースから原爆が投下された爆心地を見ることができます。

入口付近にカフェも併設してあるのでゆっくりくつろぐことが出来ます。

展望台

おりづるタワーのメインがこの展望台です。

この展望台は天井が広島杉が一面に張られていて、床もヒノキのデッキとなっています。また、柱は鉄骨の外側にヒノキがまかれており、お寺のような雰囲気を醸し出した、ミニマルで美しい空間が広がっています。

この展望台からは、原爆ドームの全貌が上から見渡すことができ、また、広島のまちなみも一望できます。

このフロアは三方向に開いており、最後の一面は鏡が貼ってあり、その反射で空間がどこまでも広がっているように見えます。一面を閉じている理由は、その方向だけ隣のビルが隣接しており、それを隠すためだとか。周辺環境まで考えられた設計は圧巻です。

広島建築旅行の際にはぜひ!