同志社中学校は、京都市左京区岩倉にある私立の中高一貫校です。

当初同志社中学校は、今出川にありましたが、2010年に京都市営地下鉄国際会館駅の近隣に移転しました。

同志社中学校は移転するにあたり、土地が広くなった分、立地が少し不便になったことから、受験人数の減少が危惧されたこともあり、打開策として教育改革を打ち出しました。

その同志社中学校の新しい教育は、建築から教育を考えるというものでした。

設計したのは、ロームシアターの設計を行った香山壽夫さんで、建築計画に関しての計画監修者としては長澤悟さんが携わりました。

設計者

香山壽夫

東京大学を出た後、ペンシルベニア大学でルイス・カーンの研究室で学んだ建築家です。

学校建築を得意とし、大学キャンパスの設計においては、コミュニケーションを重視しており、

  • フォーマル・コミュニケーション
  • インフォーマル・コミュニケーション
  • フリー・コミュニケーション

の3つのレベルの場を提供することを重要だと提唱しています。

長澤悟

東京大学大学院博士課程修了後、変化する教育に新しい学校のあり方を提案し続けており、様々な学校建築計画を担当しています。

また、長澤悟さんはの設計は、建築計画だけでなく、学校の経営システムや、施設に取り入れる家具や機器などの細部まで渡っています。

建築計画

教科センター方式の採用

同志社中学校が建築計画において取り入れたのは、教科センター方式です。

教科センター方式とは、教科ごとに教室やエリアが決められており、生徒がそれに合わせて教室を移動しながら授業を受けるシステムです。

教科センター方式のメリット

大学では一般的なシステムですが、中学校では珍しく、このシステムを用いることで生徒の学習意欲を自発的に生み出す効果があります。

メディアセンター

メディアセンターとは、教科センター方式によって設置された教科ごとの教室に隣接して、その教科にまつわる生徒の優秀作品や課題を展示し、生徒同士の価値観や考えを共有できる場のことです。

当初は優秀な作品や課題を公開することで、生徒がそれを真似して作ってしまうという懸念もありましたが、実際は良い刺激を受け合い、毎年多様な作品が生まれています。

学年の垣根を越えて、情報を共有する空間でもあるため、様々な交流も期待できます。

オープンスペース

特別活動などで教室以外に広いスペースが必要なときに使われるスペースです。

各教室の前の廊下を挟んで、スペースがつくられており、普段は生徒の荷物をおいていますが、必要なときは教室の外に活動範囲を広げることができるようになっています。

棚で区切られた教室

すべての教室ではないですが、教室と共用部分との区切りをガラスの棚で区切ることで、教室を閉ざされた空間にすることなく、外部とゆるく繋げ、生徒の創作意欲を沸き立てる工夫をしています。

図書館の配置

図書館は一般的には、静かな環境にするように計画されますが、同志社中学校の図書館は、あえて生徒の移動動線の中に組み込まれています。

そうすることによって、生徒は必ず図書館を通って移動しなければならないため、図書に触れる頻度が多くなり、思わぬ学習意欲を引き出すきっかけを作っています。

学内の科学館

同志社中学校の学内には、中学生がつまずきやすい数学の「因数分解」や「べき乗」などの考え方を、色つきのブロックなどを使って、目で見て触って、遊びながら感覚的に理解できるように様々なものが用意されています。

これらは、教員たちが自作しており、いいアイデアがあると作っていくようにしているそうです。

学内の博物館

同志社中学校内には、様々な標本や石の見本、動物の骨格などを展示しているスペースがあり、本当に博物館が学内に入っているくらい資料が充実しています。

教科書や図解を見るよりも、実物をみて学習することができる環境が整っています。

踊り場の掲示スペース

学内の階段の踊り場のスペースには、生徒の活動や学外からの講師による講演会などのお知らせが積極的に貼り出されており、情報を発信する場として機能しています。

中学校で放課後に講演会をすることで、生徒の興味を広げようとする工夫も素晴らしいです。

図面

学内に貼ってあった図面です。

立面図・断面図

平面図

施設

学食

グラウンド