現在技術躍進は著しく、様々な分野でAIやロボット技術が活躍していますが、建築施工の分野でも徐々にロボット技術を応用する研究が進められています。

今までは、プレキャストという工場生産で機械を用いた部材加工の技術が用いられてきましたが、最近では、現場で3Dプリンタを用い施工していく工法が出てきています。

イメージ図

引用:http://kikaijinz.com/

そもそも3Dプリンタとは?

3Dプリンタとは、コンピュータ上にある絵やイラスト、写真、文章のデータなどを紙などにインク等を用いて二次元的に印刷するプリンタに対して、データを様々な材料を用いて三次元的に出力するプリンタです。工業製品の試作品をつくるために1980年代にアメリカで開発されました。

主に3Dプリンタは積層造形技術で物体を出力していきます。

積層造形技術とは、材料を下部から一層ずつ上に連続して積層されることにより、だんだんと高さを作り、3Dの作品を作り上げる技術で、出力できる材料は技術革新によってどんどん増えています。

出典:http://imprimalia3d.com/

現在主な3Dプリンタが出力できる材料

  • 樹脂(プラスチック)
  • コンクリート
  • 食品
  • 木材
  • セラミックス

3Dプリンタの建築

3Dプリンタを用いた建築は、主に材料としてコンクリートを出力して作っていくものです。

現在は事例が住宅規模のものがほとんどですが、一般的な二階建て住宅の大きさは建築可能だと考えられます。

写真:中国の企業による3Dプリンタによる建築


出典:http://assets.nydailynews.com/p

3Dプリンタを用いた建築技術の特徴とメリット

現場の人件費が安くなる

3Dプリンタ技術が取り入れられると、現場の施工はほとんど3Dプリンタが行います。

そのため必要な人材としては、

  • 3Dプリンタを運ぶ人
  • 3Dプリンタを監督する人(現場監督)
  • 3Dプリンタの材料を調整する人
  • 3Dプリンタをメンテナンスする人

などの、3Dプリンタの補佐をする人であると考えられます。

そうなれば、現在大工などの現場で組み立てる仕事はなくなる可能性が高いでしょう。

施工時間が短い

3Dプリンタで実際に建築している組織は世界でもまだ少ないですが、中国のある起業が開発した建築用の3Dプリンタでは、10軒の住宅の着工から竣工までを24時間で行えると発表されており、驚異的な速さを実現しています。

環境に良い

3Dプリンタは積層造形技術のため、材料を機械の先端から抽出しながら造形していくため、必要最低限の量で物体を出力することができます。

建築に関わらず、従来のものづくりでは、必要とする部材が作れるだけの原料の塊から、不必要なところを切削しながら部材を作り出していくため、削りカスが出てしまいます。

しかし3Dプリンタなら制作する過程でゴミが出ないため、環境負荷を低減する効果も大きく期待されています。

また、3Dプリンタは完成までの工程に動きの無駄がないため、人間が建設するよりも原料やエネルギー資源の無駄をなくすことも期待できます。

3Dプリンタを用いた建築技術のデメリット

耐久性能

現在日本で建築確認申請を取った3Dプリンタによる建築は確認されていません。

というのも、3Dプリンタの建築は海外のプロジェクトばかりで、ほとんどが、コンセプトモデルのようなもので構造的に日本の建築基準法に対応するくらいの耐久力を持ち合わせた建築はありません。

コンクリートにあらかじめ平面的に組んだ鉄筋を挟み込みながら3Dプリンタで出力していくものもあり、コンクリートのみで建築したものよりは強度がありそうですが、それでも日本のような地震大国ではまだまだ強度が足りそうにありません。

そのため、どのように強度がある建築が作れるかどうかが普及につなげる一番の大きな課題でしょう。

住み心地

現在出力された建築のほとんどはコンクリート造(鉄筋を含むものもある)でできているため、3Dプリンタのみで作業を行うと大変無機質な空間が出来上がります。

また、3Dプリンタでは木質の素材を出力することが可能な技術があり、樹脂を含ませることにより木材の質感や香りを出すことができるというものもありますが、従来の木造で建てられた建築と住み心地を比べると、おそらくある程度の差異は感じると思われます。

日本人は特に木造建築を予てから好んできたため、そういった感覚を求めると、まだまだすべての建築を3Dプリンタが補えるかどうかは怪しいです。

3Dプリンタを用いた建築技術の研究組織

WinSun(中国)

出典:http://www.4erevolution.com/
WinSunは中国の企業で、3Dプリンタの建築技術では世界で先駆的な存在があります。

その理由として、3Dプリンタで1日(24時間)で10軒の住宅を建設したり、3Dプリンタで5階建てのアパートを建築したり、住宅以外でもオフィスビルを建設したりと、数々のプロジェクトを成功させており、3Dプリンタの可能性を世界に提示し続けていることにあります。

作られた建築物が構造的に安全かどうかは定かではありませんが、技術力はトップクラスでしょう。

ドバイ

ドバイは、国の規模で3Dプリンタの建築技術の開発に乗り出しています。

3Dプリンタのミニマルなデザインがモダニズムを連想させます。

2030年にはドバイで建築される建物の4分の1を3Dプリンタによって建築するという目標を立てているほどで、本格的に取り組んでいることが伺えます。

3Dプリンタの技術はまだまだ国家のプロジェクトの規模ではドバイくらいしか見ませんが、これから競争が激しくなるかもしれません。

MIT(マサチューセッツ工科大学)

出典:http://iot-labo.jp/

MIT(マサチューセッツ工科大学)は、3Dプリンタの技術開発が盛んに行われており、建築用の3Dプリンタ技術もトップランナーの組織の一つです。

この3Dプリンタは「デジタル・コンストラクション・プラットフォーム(DCP)」という自動建設システムで、特徴としては、動力を送電された電力だけで無く太陽光発電システムによって得られる点です。

そのため、エネルギー供給が難しい避難所や被災地など、または、月や火星などの地球以外の場所で建設が可能だと言われています。

アームを動かすことによって直径約14m×高さ3.7mのドーム形状の建物を13.5時間で完成させることができます。

Delta WASP(イタリア)


出典:https://wired.jp/

高さ約12m、直径約6mの金属製フレームに支えられた出力する先端が稼働する仕組みで、主に粘土や泥を原料とした環境負荷が少ない建築をつくることができるといわれています。

資源が少なく、建築技術も普及していない場所で、住宅不足の問題を解決することができると期待されています。